市販されているベーコンやハムなどの食肉加工品の中には、「無塩せき」と表示されているものがあります。「無塩せき」とはどのようなことなのでしょうか。
塩漬と無塩せき

「塩漬」(えんせき)と読みます。ベーコンやハムは、豚肉を塩漬けにした物を燻製にして作ります。
「塩漬」とは読んで字の如くベーコンやハム作りにおける塩漬け工程のことで、塩漬けすることによって肉を熟成させ、旨味と弾力が増しベーコンやハムならではの味わいをもたらします。
ところで、スーパーなどで売られているベーコンやハムの中には、「無塩せき」をうたっている商品があります。これらの商品は「無」塩せきというくらいなのだから、塩漬けせずに作られているのでしょうか?塩漬・無塩せきについて調べてみました。
塩漬、無塩せきの定義
公正取引委員会の公正競争規約によると、
塩漬(えんせき)とは
「食肉に食塩、発色剤等を加え、低温で漬け込みを行うこと。」
ハム・ソーセージ類の表示に関する公正競争規約・施行規則
http://niku-kakou.or.jp/kousei/bylaw/kisoku.pdf
を言うそうです。まあ塩漬けですから。
では、無塩せきの定義はというと、
無塩せき(むえんせき)
「使用する原料肉を発色剤を用いず塩づけしたものをいう。」
ハム・ソーセージ類の表示に関する公正競争規約・施行規則
http://niku-kakou.or.jp/kousei/bylaw/kisoku.pdf
「無」塩せきと言えども塩には漬け込むようです。では、なにが「無」のかというと、無塩せきは【発色剤を使わない】ということらしいのです。無塩せきというと、塩を使わないのかと思いきや、そうではないのです。
まとめると
・塩漬=塩+発色剤等で漬け込まれたもの
・無塩せき=塩のみで漬け込まれたもの
ということになります。
無塩せきのリスク
発色剤を使わない無塩せきベーコンやハム。健康のことを考え、なるべく食品添加物を使わない商品を選ぶ。それも1つ選択基準であって良いことでしょう。
しかしながら、こと、発色剤に関しては、そうとも言えないようなのです。
発色剤の役割については、「発色剤に隠された意外な役割」のページにも書きましたが、ボツリヌス菌の増殖を抑える効果があります。
その発色剤を使っていないということは、そのリスクを背負うことになるのです。
塩漬の「塩(えん)」って塩(しお)のことじゃないのかも
と、ここまで「塩」=「食塩」として扱ってきましたが、よく考えてみると、塩漬や無塩せきの「塩」って食塩のことではないような気がしてきました。
ちょっと化学の話になりますが、酸とアルカリを混ぜて出来る物質のことを塩(えん)と呼びます。
塩漬に使う発色剤である亜硝酸ナトリウムは、ナトリウムの亜硝酸「塩」です。この塩に漬け込むから「塩漬」と言うのかもしれませんね。実際のところはどうだかは分かりません。
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